ペット保険に加入する必要性がほとんどない理由を解説

私は保険の代理店をしていた時期があるので、猫を飼い始めた時点ですぐにペット保険への加入を検討しました。

ただ、調べていくうちに、ペット保険に加入することは合理性が乏しいのではないかという印象が強くなりました。

そこで、この記事ではペット保険に加入する必要はあるのかという点について、猫を前提に考えてみます。

結論から言うと、貯蓄で十分かなと思います。

猫の治療費は最大でどのくらいかかる?

公益社団法人日本獣医師会は平成26年に「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査及び飼育者意識調査」において、獣医師1365名と小動物の飼い主3096名に対するアンケート調査を行っています。

この調査では小動物の飼い主に対し、実際にかかった治療費の最大額について尋ねています。猫の年齢別にかかった最大額をグラフにすると以下のようになります。

このデータによると、1回の治療でかかる治療費は高くても30万円くらいみておけば何とかなるだろうとも言えます。あらかじめそのくらいであることがわかっていれば、決して貯蓄で備えられないという金額でもないでしょう。

人間と同じで、高齢になればなるほど高額な治療費が発生する可能性が高くなりますが、0歳~6歳でも高額な治療費が発生する可能性があることも上記のデータからわかります。

そのため保険に加入しないのであれば、なるべく早めにそれくらいのお金を準備しておくことが必要です。

なお、1ヵ月で動物病院にかけている概算費用は全年齢で6991円というデータもあります。定期検診やワクチン、爪切りなどの費用や軽い病気の治療費はおそらくここに含まれているでしょう。

このデータは、これまでにかかった治療費の「最大額」を聞いているというのが画期的です。

どんな病気にかかることが多い?

アニコム損保では「家庭どうぶつ白書」という資料を毎年、公表しています。

この白書の2018版には「猫の(保険金)請求割合の年齢推移」というデータが掲載されています。そのうち保険金請求割合の多いものについてのグラフを以下に引用しましたので、参考にしてください。


引用元:家庭どうぶつ白書2018 第3部第1章 疾患(大分類単位)別の統計|アニコム損保

これによると、消化器疾患、泌尿器疾患、皮膚疾患の割合が高いことがわかります。また、年齢による差があまりなく、若くてもこれらの疾患にかかることもわかります。

各疾患に属する病気の一覧はこちらで確認できますが、泌尿器疾患のうち腎臓に関連するものは治療費が高くなる可能性があるでしょう。

どの病気でどんな治療をするのかがわからないと役立ちにくいですが、病気の種類による治療費については先に紹介した「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査及び飼育者意識調査」を参考にしてください。

ペット保険に加入した場合の損得

ペット保険の合理性を検証するために、一例としてアニコム損保のペット保険「どうぶつ健保ふぁみりぃ」スタンダードタイプ(限度日数あり)の累計保険料(年払い)をグラフにしてみました。この保険は、治療費の70%を保険金として受け取ることができるという商品です。


引用元:「どうぶつ健保ふぁみりぃ」スタンダードタイプ70%プラン(限度日数あり)基本保険料表|アニコム損保

この保険に15歳まで加入すると、およそ70万円の保険料を支払うことになります。

仮に、10歳のときに30万円の治療費がかかったとすると、そのうち7割を保険金として受け取り、残りの3割を自己負担することになります。

保険に加入していた場合は30万円×3割=9万円の負担で済みますが、それまでに約40万円の保険料を支払っているので、損得はトントンです。

しかし、3歳のときに30万円の治療費がかかった場合はまだ10万円程度の保険料しか支払っていないので、加入していたほうが得になるという計算になります。ただ、若いほうが高額な治療費がかかる可能性が低いというのは人間と同じでしょう。

なお、ペット保険は人間の医療保険と大きく違う特徴があります。

それは、ペット保険は1年ごとに更新が必要ですが、更新のときは審査があり、大きな病気をすればそれに関連した病気も補償対象外になってしまう点です。これが、ペット保険の必要性を判断するうえで最も大きなポイントとなると言えます。

ペット保険に加入するならこの点を承知していないと、更新を拒絶されて「ダマされた」という心境になる可能性が高いです。

ペット保険に加入する価値があるケースはある?

人間の医療保険にも更新型の商品がありますが、病気にかかったからといって更新できないことはありませんし、関連する病気が保障の対象外になることもありません。

そのため人間の保険に詳しいと、ペット保険がおかしな商品に見えます。

ただ、ペット保険に加入することに合理性があるとすれば、過去に払ってきた保険料のことは忘れ、常に「次の1年」だけを考えて加入するかどうか判断する場合です。

たとえば先ほど説明した「どうぶつ健保ふぁみりぃ」スタンダードタイプに加入しており、更新後の保険料が月5000円だとします。仮に、更新後の1年間で治療費が30万円かかった場合の損得は以下のようになります。

  • 保険に加入した場合の負担:5000円×12ヶ月+30万円×3割=15万円
  • 保険に加入しなかった場合の負担:30万円

このように、高額な治療費がかかる場合は負担をおさえることができます。ただ、それでも15万円はかかりますし、翌年は更新できなかったり、関連する病気が補償の対象外になってしまったりする可能性があるので、やはり病気になる前から貯蓄で備えておくほうが合理的です。

おわりに

この記事で取り上げたペット保険に加入すると、保険料として支払うのは総額で70万円ですが、これまでのデータを見る限り、生涯の治療費がそんなにかかると思いますか? しかも治療費のうち3割は自己負担なのです(負担割合は商品によって違います)。

そう考えると、ペット保険に加入するよりも貯蓄で備えるほうが良いと感じないでしょうか。

私はいろいろ検討した結果、ペット保険には加入せず、毎月3000円~4000円程度のお金を別枠で貯めておくことにしました。

ペット保険は何か大きな病気をすると、その後は補償対象外になってしまうことがあるのがとにかく大事ですね。